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Q28債務免除とみなし贈与

Q 父が85歳になり、そろそろ相続対策を考えています。財産は、土地建物・預金の他に父が経営する同族会社に対する貸付金4,000万円があります。税理士さんから「このままでは貸付金は相続財産になって相続税がかかります。」と言われました。

 そこで、相続対策として父が存命のうちに貸付金4,000万円について債権放棄をしてもらいたいのですが問題はありませんか?

会社株式の持分割合は、父が50%、長男(私)が30%、次男が20%です。


A まず、自分の会社に対する貸付金も金銭債権であることから相続財産になります。死亡時点の貸付金額が相続税の課税対象となりますので、お父さんがご存命のうちに債権放棄をするべきだと思います。

 ただし、債権放棄をして会社の借金が減って純資産額が増加した場合、株式の価値も増加することからあなたと弟さんに対する「みなし贈与」の問題が出てきます。

 みなし贈与とは、贈与という行為がない場合にも、贈与と同じ効果があれば贈与とみなされるというものです。

 今回の場合もお父さんが債権放棄をすると会社の借金(負債)が減少することから会社の価値ともいえる純資産が増加します。そうすると、株式の価値も増加することから、お父さんからあなたと弟さんへ株式の増加した価値分の贈与があったものとみなされます。

 会社が債務免除を受けた場合には、その同額を収益として計上する必要があります。繰越欠損金が多額で債務免除益があったとしても純資産がマイナスの場合にはみなし贈与の問題は起こりません。

 しかし、債務免除の結果、純資産がプラスになる場合には自社株の評価をし、いくら贈与税が発生するか、相続税と比較してどちらが有利か、債務免除を受ける額をいくらにするか等の対策が必要になります。

 当事務所にて会社の自社株評価をしますので、それから相続対策を考えていきませんか。