Q 1年前に父が亡くなり、相続人は母と姉と私の3人です。相続税の申告を期
限内に済ませ相続税も納付しましたが、相続税は全て母が支払いました。
問題にならないですか?
お母さんが納付した相続税の内、あなたやお姉さんの負担分はお母さんからの
贈与になりますので、贈与税の問題が出てきます。110万円以下で相続時精算
課税制度を使っていないのであれば贈与税の基礎控除以下なので贈与税額は0円
となり、問題ないかと思います。
もし支払ってもらった相続税が110万円を超えていたような場合は、今はお母
さんの立替払いということにしておいて、お金があればお母さんに返金してくだ
さい。その場合、お母さんの預金通帳に振り込む形で証拠を作っておいてください。
相続税の税務調査の時には納税がどの銀行からなされたかもチェックしていま
す。その時に母親が相続税の全額を納付していた場合、税務署は贈与として課税
してくるかもしれません。
納付者としては、単なる立替で後日返金しますと主張すれば課税されないと思
いますが問題の種は残さない方が良いかと思います。
分割協議と納税方法はセットで考えることが大事です。
相続税の納税方法は、現金一括納付が原則です。これができない場合は延納、
延納も難しい場合に限って初めて物納が認められます。
延納にしても、物納にしてもそれぞれに要件があり、それをクリアした場合に
り認められます。
延納を希望する場合は、延納申請書に「金銭納付を困難とする理由書」を税務
署に提出し延納の許可を受けなければなりません。それには、相続した現金預金
のほかに、「①納税者固有の現金預金その他換価の容易な財産」、「②生活費の
計算」の明細、「③配偶者その他の親族の収入」、「④事業経費の計算」、「⑤
概ね1年以内に見込まれる臨時的な収入・支出の額」等の記載が必要ですし、担
保の提供も必要です。さらに、延納期間中は利子税もかかります。
物納の場合は、ほとんど土地ですが、土地は関係者立会いのもと実測し、測量
の結果として隣地や道路の境に杭を入れる等が必要です。
延納、物納をすることは、かなりハードルが高いので、遺産分割協議の際に
は、納税資金もセットで考えて分割してください。