Q 先日父が亡くなり、四十九日もやっとすみました。そろそろ兄弟たちと遺産
の分割をしようと思います。遺産の分割や土地や建物の名義変更はいつまでに
しないといけないのですか?
A 期限はありませんが、まとまらなければいつまでも未分割となります。ま
た、銀行預金等は分割協議がまとまるまでは、凍結されますので出し入れはでき
ません。
もっとも、相続法が改正されて預金の一部については遺産分割が完了していな
くても引き出すことができるようになりました。
そして、遺産分割が済んでいなくても相続税のかかる人は相続開始後10ヵ月以
内に申告と相続税の納付をしなければなりません。
お葬式が済んで四十九日が済まないとなかなか相続の手続きに手が付けられな
いのが普通です。
相続の開始は被相続人であるお父様が亡くなった時です。この時点では遺産の
分割が行われていないので、未分割という状態です。
遺産の分割は、いつまでという期限はありませんが、未分割であっても相続税
のかかる人は、10ヵ月以内に申告し、相続税の納付をしなければなりません。
また、相続人全員が遺産分割協議書に実印を押印し、かつ、印鑑証明を付けな
いと銀行預金や不動産の名義が変更できません。
全員が納得し、実印を押すまでは次のような問題が起こります。
①預貯金の大部分がおろせない
②相続税の申告をする場合の配偶者控除、小規模宅地等の減額といった相続税が
安くなる制度が使えない。
③不動産の売却をしたくてもできない。
民法第909条の2(遺産の分割前における預貯金債権の行使)
各共同相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち相続開始の時の債権額の三分の
一に第九百条及び第九百一条の規定により算定した当該共同相続人の相続分を乗
じた額(標準的な当面の必要生計費、平均的な葬式の費用の額その他の事情を勘
案して預貯金債権の債務者ごとに法務省令で定める額を限度とする。)について
は、単独でその権利を行使することができる。この場合において、当該権利の行
使をした預貯金債権については、当該共同相続人が遺産の一部の分割によりこれ
を取得したものとみなす。
条文としては読みにくいかもしれないですが、共同相続人は相続が開始された
時の預貯金額の3分の1に自分の法定相続分の割合を掛けて出てきた金額について
他の相続人の同意を得なくても引き出すことができるというものです。しかし、
法務省令により引き出すことができる金額は150万円が限度とされています。
そして、この引き出した預金については遺産分割によって取得したものとみな
されます。