Q 先日、母が亡くなり四十九日も過ぎてそろそろ遺産分けをしようと思ってい
ます。相続人は、兄と私です。どのようにすればいいですか?
A 遺産分けをして土地建物や預金の名義を変えるには、遺産分割協議書が必要
です。
遺産は、相続人の協議により自由に分割することができます。また、民法
の相続分により分ける場合は、次のようになります。
民法の相続分
・法定相続分(民法900条)
子どもと配偶者が相続人 配偶者1/2 子ども1/2均分
配偶者と直系尊属が相続人 配偶者2/3 直系尊属1/3均分
配偶者と兄弟姉妹が相続人 配偶者3/4 兄弟姉妹1/4均分
法定相続人が被相続人の養子(子ども)になった場合は相続分が重複します。
・代襲相続分(民法887条第2項)
代襲相続とは、親が亡くなる前に子が亡くなっている場合に、その子、つまり孫
が相続人となることです。この場合、被代襲者(この場合、子)の相続分をそのま
ま引き継ぎます。
・指定相続分(民法902条)
遺言で指定された相続分
例)遺言書でAに全財産の1/2を相続させる。
・寄与分(民法904条の2)
被相続人の財産の増加に寄与したものがいる場合、遺産額からその者が寄与した
分を控除した残りを相続財産とみなして相続分を計算します。
例)被相続人甲 相続人 子A、B、C
相続財産9,000万円、その内Aが寄与した額が3,000万円あった。
9,000万円-3,000万円(寄与分)=6,000万円
6,000万円÷3(相続人である子の人数)=2,000万円
A 2,000万円+3,000万円(寄与分)=5,000万円
B 2,000万円
C 2,000万円
・特別受益者の相続分(民法903条)
相続の前渡しとみられる多額の生前贈与を受けていた場合、受益分を遺産に持ち
戻して相続分を計算します。
例)被相続人甲 相続人 子A、B、C
相続財産6,000万円 Aは生前に甲から3,000万円の贈与を受けていた。
6,000万円+3,000万円(生前贈与分)=9,000万円
9,000万円÷3(相続人である子の人数)=3,000万円
A 3,000万円-3,000万円(生前贈与分)=0円
B 3,000万円
C 3,000万円
・遺産分割の仕方
現物分割:この土地は誰に、この建物は誰にというように、個々の財産をその
ままにして分割する方法
代償分割:相続人のうち特定の者が遺産の全部または一部を取得し、他の相続
人は、遺産の取得に変えてその特定の者から現金または預金を受け取
る方法
換価分割:遺産を処分して金銭で分割する方法
共有分割:遺産の全部または一部を相続人の全員又は一部の相続人の共有にす
る方法
以下に遺産分割協議書の例を掲載します。この分割協議書は代償分割の場合で
す。