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遺言書を書く時の注意点

Q 私は、今まで自筆証書遺言を3回見たことがあります。1回目は問題なく遺言

   書の通り分割できました。

   2回目は書き方がおかしいということと、相続人全員が納得しないことも

     あって、遺言書を無視して遺産分割協議書を作成し、分割しました。

     3回目は、相続させようとする財産が特定できないので相続人の間で揉めて

     います。現在も各相続人が弁護士に依頼し裁判になっており、裁判費用も相

     当かかっています。遺言がなかった方がよかったかもしれません。

     

A Q9でも申し上げましたが公正証書遺言をお勧めします。一度作った遺言でも

     気持ちが変わったら、作り直しもできます。そして、一番新しい日付の遺言

     書が有効になります。また、公正証書遺言の内容を変更する場合は自筆証書

     遺言でもすることができます。


 中には家族に伝えたいことを「付言事項」 として付け加えている遺言書もあ

ります。

 例えば、「(付言事項)私の生涯は妻と二人の子供に恵まれ幸せでした。相続の

配分に関しては、これからの会社のことや、妻のこれからの生活を考え決めまし

た。くれぐれも争うことのないよう、私の死後も家族が仲良く生活してくれるこ

とを願います。」というような文章です。法律的には拘束力はありませんが、思

いは伝わります。

 

 当事務所が作成したエンディングノートに「子・孫に伝えておきたいこと」、

「父・母・兄弟姉妹に伝えておきたいこと」を記入するページがありますのでご

利用ください。


 また、公正証書遺言がある場合でも遺留分で揉める場合がありますので注意し

てください。

遺留分とは、法律上一定の法定相続人に認められる最低限保証される相続財産取

得分のことです。認められる範囲は①配偶者、②子・孫などの直系卑属、③親・

祖父母などの直系尊属です。兄弟姉妹には遺留分は認められません。


計算方法としては次のようになります。

・子3人が相続人・・・子それぞれ1/6(1/3×1/2)

・配偶者と子3人が相続人・・・配偶者1/4(1/2×1/2)・子それぞれ1/12(1/2×1/2×1/3)

・配偶者だけが相続人・・・1/2(1/2×1/1)

・配偶者と父母が相続人・・・配偶者2/6(1/2×2/3)・父母それぞれ1/12(1/2×1/3×1/2)

・配偶者と兄弟姉妹が相続人・・・配偶者1/2・兄弟姉妹なし

・父母が相続人・・・父母それぞれ1/6(1/3×1/2)

   

 例えば、子が3人いる場合に遺言書で全ての財産を1人の子に相続させるとした

場合も他の子は遺留分をもらうことができます。


 この場合、遺留分の侵害があるとして「遺留分侵害額請求」をすることができ

ます。以前までは「遺留分減殺請求」と言われていましたが、2019年に相続法

が改正され変更されました。

 遺留分侵害額請求権は自分のために相続があったことを知った時から1年

相続があった時から10年以内に行使する必要があります 。


 また、前の「遺留分減殺請求」では財産を取り戻すということで現物返還がさ

れることになっていました。そうすると、不動産が相続財産であった場合には遺

留分の範囲で共有状態になるという事態が発生していました。これでは、せっか

く相続分を取り戻したとしても自由に処分できずかえって揉めることもありまし

た。

 そこで、「遺留分侵害額請求権」に改正され、名前の通り侵害額つまり遺留分

の額を金銭で支払うように請求できる権利に変更されました。