Q 父は85歳で病院に入院していて、病院の先生からは余命はあと半年と言われ
ました。相続人は私一人でS町に土地と建物があり、預金も4億円くらいあり
ます。父が亡くなると相続税がどれくらいになるか心配です。すぐにできる
相続税の対策はありますか?
A すぐにできる相続税対策として次のようなものが考えられます。
① 相続人を増やす
養子縁組をすることにより相続人を増やすことができます。相続人が増えると
基礎控除も一人につき600万円増え、税率区分も下がります。ただし、相続税税
務上は実子がいる場合は一人、実子がいない場合は二人までしか法定相続人に含
めることができないという制限があります。
また、孫養子の場合は、相続税額の2割加算がありますので気を付けてくださ
い。
② 贈与税の非課税制度を使って生前贈与をする。
・贈与税の配偶者控除
お父様に配偶者がいませんので関係ないと思いますが、次のようになってい
います。
婚姻期間が20年以上で居住用不動産もしくはその取得資金が2000万円まで
の贈与は非課税になっています。
同じ配偶者間でできるのは一生に一回のみです。
この場合、相続開始前3年以内の相続財産への加算の適用がありません。
・住宅取得資金の非課税制度(期限があります)
子、孫への住宅取得資金の贈与の非課税制度がありますが、贈与の年により
非課税限度額が異なります。
・子、孫への教育資金の非課税制度(期限があります)
30歳未満の子、孫へ1人につき1500万円まで、金融機関へ預入をすること
により非課税で贈与ができます。
・結婚、子育て費用の贈与税非課税制度(期限があります)
20歳以上50歳未満の子、孫へ1人につき1000万円まで金融機関に預け入れ
をすることにより非課税で贈与ができます。
③ 非課税になるものにお金を使う。
墓、祭具は非課税ですので、それにお金を使っておく。また、住宅の修理をし
ても固定資産税評価は変わりません。
参考
婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するた
めの金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで
控除(配偶者控除)できるという特例です。
引用元:国税庁 NO.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
平成27年1月1日から令和3年12月31日までの間に、父母や祖父母など直系尊属
からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得又は増改
築等(以下「新築等」といいます。)の対価に充てるための金銭(以下「住宅取得
等資金」といいます。)を取得した場合において、一定の要件を満たすときは、
次の非課税限度額までの金額について、贈与税が非課税となります。
イ 下記ロ以外の場合
住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日 | 省エネ等住宅 | 左記以外の住宅 |
~平成27年12月31日 | 1,500万円 | 1,000万円 |
平成28年1月1日~令和2年3月31日 | 1,200万円 | 700万円 |
令和2年4月1日~令和3年3月31日 | 1,000万円 | 500万円 |
令和3年4月1日~令和3年12月31日 | 800万円 | 300万円 |
ロ 住宅用の家屋の新築等に係る対価等の額に含まれる消費税等の税率が10%である場合
住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日 | 省エネ等住宅 | 左記以外の住宅 |
平成31年4月1日~令和2年3月31日 | 3,000万円 | 2,500万円 |
令和2年4月1日~令和3年3月31日 | 1,500万円 | 1,000万円 |
令和3年4月1日~令和3年12月31日 | 1,200万円 | 700万円 |
引用元:国税庁 NO.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税
平成25年4月1日から令和5年3月31日までの間に、30歳未満の方(以下「受贈
者」といいます。)が、教育資金に充てるため、金融機関等との一定の契約に基
づき、受贈者の直系尊属(父母や祖父母など。以下「贈与者」といいます。)から
①信託受益権を取得した場合、②書面による贈与により取得した金銭を銀行等に
預入をした場合又は③書面による贈与により取得した金銭等で証券会社等で有価
証券を購入した場合には、その信託受益権又は金銭等の価額のうち、1,500万円
までの金額に相当する部分の価額については、取扱金融機関の営業所等を経由し
て教育資金の非課税申告書を提出することにより、受贈者の贈与税が非課税とな
ります。
引用元:国税庁 NO.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を付けた場合の非課税
直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税
平成27年4月1日から令和5年3月31日までの間に、20歳以上50歳未満の方(以下
「受贈者」といいます。)が、結婚・子育て資金に充てるため、金融機関等との
一定の契約に基づき、受贈者の直系尊属(父母や祖父母など。以下「贈与者」と
いいます。)から①信託受益権を付与された場合、②書面による贈与により取得
した金銭を銀行等に預入をした場合又は③書面による贈与により取得した金銭等
で証券会社等で有価証券を購入した場合には、信託受益権又は金銭等の価額のう
ち1,000万円までの金額に相当する部分の価額については、取扱金融機関の営業
所等を経由して結婚・子育て資金非課税申告書を提出することにより贈与税が非
課税となります。
引用元:国税庁 NO.4511 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税